第20回 「シンプルイズ」

ベスト、なんていいますね。
手で触れるものなんかはシンプルな方がいいなと思います。
食器とか、工具とか文房具とか。
文房具は無駄に賑やかなのも楽しかったりしますが。

単純なものほど奥が深いことが多いです。
ぼくの大好きなゲームなんかは特にそう。
いいゲームは間口が広く、奥が深い。
最近は見た目が派手でお話は感動的でミニゲームてんこ盛りなやつが
多いですが、ぼくの好きなのはシンプルな方が多いような。
いや、ちょびっとだけ複雑なのが好きなような気もする。
今週発売の「カルドセプトセカンド(ドリームキャスト版)」。
単純で奥が深くおすすめです。

サッカーなんかもね、基本ルールはシンプルだよね。
ボールを相手のゴールに入れる。手は使っちゃダメ。
そんなもんでしょ。まあ、反則とかオフサイドとか
ちょびっと分かりにくいルールもありますが、あれはズル防止ですから。

絵本はどうでしょう。単純だけど奥が深い。
そんな作品たくさんあります。こりゃまた底なしに奥が深い。
しかし時々出会う“相手が子供だから簡単にしとけばOK”的な単純さ。
これにはちょっと閉口です。なんだか悲しいね。
シンプルにしていくってのは省略、ではなくて濃縮のような気がします。
削って削りつつ、ひたすら濃くしていく。
ブルーナの描くどうぶつだとか、俳句だとか。
ほんとに濃いよね。もうお腹一杯いっぱい。
サッカーなんかもそう。パスひとつとっても、そこに込められた意志とか
ほかの選手の意志とかがぎっしりつまって得点につながる。
パスひとつ、シュートひとつに11人分+α。
プラスアルファ、はジャレコのシューティング、ではなくて
サポーターの祈りね。で、それを蹴り出せる選手はほんとにすごい。
生のストイコビッチは本気(と書いてまじ)ですごかったよ。
ちょっと横道にそれた感がありますが、単純なものの濃さです。
特に幼児用の絵本にみられるそれのバランスは絶妙で
子供に鮮烈なイメージを与えるようです。
うちの娘もブルーナとかキティちゃん・アンパンマン好きだもんな。
こどもは視覚も味覚も濃い味が好きなようで。

<おまけ>
これをどちらも満たしてると思われるのがマクドナルド。
あのMを見た時の娘のリアクションがね、そりゃもう大変。
「マック、マック」って大騒ぎさ。
あれもみごとなデザイン戦略。あさはかな絵本より効果的。
しかも、日本・パリ・ロスでマックを食いましたがみんな同じ味。
味のデザインも完璧なようです。ある意味恐ろしい。味の世界征服。
しかし味の内容は大味なので娘にはぜったい食わせたくないです。
実際にかつおぶし削ったり、ごま煎ったり、海苔焙ったりして
作る旨さ、なんてのを教えたいな。
この辺も単純なものほど奥が深いってことで。

そんなことよりおまえ、ほんとにカルピスの原液なんか
飲んだことあるの、と問われたら「あるよ」と答えます。
いやね、学生の時、福引きの参加賞がスティックカルピスで、
捨てるのももったいないので一気飲みしようということになって
飲んでみたんですが死にます。甘過ぎです。よいこは真似しないように。