写真のボックスはいわば湖の勝負ボックス。モンスタートラウトに照準を絞ったフライ達です。右側は捏造ストリーマー。左側が蛾と蝉です。このように、私はどちらかというとオリジナルの大きなフライ、特に大きなドライフライに"!ガッパーン"と出てくる大物を狙うような釣り方が好きなのです。なぜ、こんなにボックスの中に蛾が入り込んだのか?あの出来事さえなければこんなボックスにはならなかったのに。
それは・・・2年前の穏やかな小春日の芦ノ湖の出来事でありました。平日に一人で釣行できた私は、誰もいない樹木園のワンドへ。ユスリカにライズするレギュラーサイズのスクールを発見。
「しめしめひとりじめっと・・・」それまで死にそうなほど仕事に埋没したご褒美だったんでしょうか?本当に#14のパラシュートででるわでるわ。5、6本釣ったところで一休み。“う〜んくるしゅうない、予は満足じゃ”と珍しく穏やかな釣り人の顔をしてたばこを吸い始めました。すると、右手の仏が崎の方から南西の風が吹き込みはじめ、枯れ葉に混じって一匹のピンポン玉大の蛾が飛ばされてきて水面に落ちました。そいつがぱたぱたっとはばたいて水面に波紋を立てた、その時“ゴボッ”すさまじい音と水飛沫。あんなのどこにいたのかと思うようなレインボーが蛾を一呑みにしてしまったのです。もう声も出ません。きっとその時の私の顔を樹木園から見たら、ムンクの“叫び”そのものだった事でしょう。おまけに全く同じ光景が2度も繰り返されたのです。わなわなする手でボックスをまさぐりますが、どう考えても蛾に似たフライなんてありません。唯一あったマドラーヘッドのミッキーフィンマドラーを結んで浮かべてみましたが、蛾に似ているはずもなく、ちょこちょこひっぱて見たところで、あの怪しい波紋なんか出るはずもありません。こりゃだめだ。完敗でした。
その日からです。頭の中は蛾・蛾・蛾・・・
試行錯誤を繰り返し、また巻いたフライと一緒に風呂に入って、湯船に浮かべて潜って見たり。涙ぐましい努力の末、昨年の芦ノ湖では間違いなくバイトすること、他のフライに比べて抜群にアピール力が強い事、そして特に秋に効くことがわかりました。そして、昨年の忘年本栖湖合宿でついに蛾フライでの初めての一匹をゲットしたのです。
さあ、今年は確信を持ってこれを使い倒す年。そして野反湖、芦ノ湖と結果が出ました。蛾のフライなんてどうせ受け狙い、キワモノさ、などと笑っていた方、もう、“蛾は釣れる、そして鱒は蛾を食っている”という揺るぎ無い真実には一点の曇りもありません。これからは本栖湖で結果を出すべく浮かべます。
<蛾フライの肝>
@ シルエットが大きく、ウィングがはっきりしていてアピール力が強い事
(モンスターはボリュームのあるものに目がない)A ぽっかりと強力な浮力があること
(モンスターはぽっかり浮いているものに目がない)B ちょんちょんっと引っ張ったときにウィングがぱたぱたして怪しい波紋をたてること。(モンスターはこの波紋には目がない)そう、キーワードは“ぽっかり&ぱたぱた”です。
<蛾フライのタイイング>
まだ完成形とは思っていません。現状でのひとまずの結論です。さあ、みなさんもアレンジを加えて“ れっつ たい ざ もす ”
@ フックはがまかつのトラウトスティンガー#6を標準にしています。まずフロートフォームを蛾のおなかの形に切りましょう。ホームベース型に切ってフックに乗せ、スレッドで前後を留めます。
A 装着したフロートフォームの後端にボディハックルを止めてから、スレッドにダビング材を撚りつけ、フォームが隠れる程度にボディーをカバーしていきます。
B ボディハックルを4〜5回転で留めます。
C ウィングの装着。ウィングはブラウンのCDCを片翼2枚ずつ。スペント状より気持ち上向きなぐらいがバランスが良いようです。ウィングを装着したらスレッドにダビング材を撚りつけ、たすきがけにして、胸部にもボリュームを持たせてあげましょう。
D ディアヘアで頭部をつくりトリミング。画竜点睛。ここが大事です。蛾は翔が命。くれぐれも翔を切ってしまわないよう愛情をこめてチョキチョキしましょう。
さあ、完成です。出来上がったら、必ず一緒に風呂に入るか、洗面台に水を張って浮かべてみましょう。どうですか?釣れそうでしょう!
管理人の寸評
コメントなし(私の蛾熱はすっかり冷めてしまいました。)