管理釣り場 で歴史が変わる
“巌流島の決闘”
 JOEの獲物

 穏やかな昼下がり、例によって“朝○ガーデン”でロッドを振っていた。数匹を釣り上げて、「よし!」と何となく納得しながら空を見上げると、いつの間にか雲が低くなって来ていた。雨が降り出す前に、「あと2〜3匹取ってから・・!」とフォルスキャストに入る。シュート直前にロッドに違和感を感じたが、気にせずシュートした直後、「ドボン・・!」と大きな音を立てて着水した。キャストしたはずの、#14のドライフライが水面でバシャバシャと弾けている。

急いでリトリーブし、得体の知れない“そいつ”を手に取り眺めてみると、掌の中でフライを咥えた“燕(つばめ)”がピクピクしていた。

隣にいたオヤジが覗き込み
「何が引っかかった、“ツバメ”じやないか・・!」

そのオヤジは微笑みながら、
「フライで“燕返し”かぁ〜!」と素っ頓狂なことを言っていたが、8ftロッドを振り回していても、別に俺は“佐々木小次郎”じゃないって〜の・・!

既に“ツバメ”は幾ら揺すっても動き出す気配も見せず、“燕の武蔵?”は静かに天に召された。

“武蔵が小次郎に敗れた!”まさに歴史を変えてしまった瞬間であった。降り出した雨の中で後ろの土手に穴を掘り、丁重に葬儀を済ませた。

事故とは言え、生き物を殺めてしまった事に変わりはない。気落ちしながら帰路についた。

以降、その管理釣り場では、巨大な“燕”が現れ、数人の釣り人が連れ去られたと噂で聞いたが、その事実関係については確認していない。

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