管理釣り場 で歴史が変わる
“巌流島の決闘”
 JOEの獲物

2〜3年前のこと、冬の朝は実に布団が恋しく離れがたいものである。その日に限ってあっさりと目が覚め、時計に目をやると「7:30」を指していた。“朝○ガーデン”でもと支度をはじめ、財布を覗くと“漱石先生が一人、私を睨み返すだけ”「いけね、銀行に行くの忘れてた・・!」出花を挫かれた私は、お茶をすすりながら暫し考える。禁漁時期で金がないとなれば、“笹目で鯉釣り”と相場は決まってる。とばかり車に乗り込んだ。車で20分程走り、橋の上から“夫婦水門”が見えて来る、土手下に車を止めて早々に釣りを開始した。しばらくは当たりもなく、“テクトロ”を続けていると、物凄い勢いでマーカー水中に引込まれ、ラインが一気に引き出された。「でっ、デカイ!」と口を衝いて出る。

即座に沈んだマーカーが、一気に水面めがけ浮上し始め、その下に黒い影が見えてきた。「鯉て跳ぶの?」と思った瞬間、水面を割って現れた鯉には“翼(はね)”が生えていた。「何だぁ〜、えっ、鳥?」“翼の生えた鯉”改め“鳥”は、1.5号のティペットをぶった切って飛び立った。

空高く飛び去った“鳥”を眺めながら、“ほんの数秒の出来事”を頭の中を整理すると、巨大な鯉を掛けたのではなく、「鵜(うっ!)」て事になる訳です。やっとの思いで平静を取り戻した私は、切れたティペットを結び直し、思わず「何であんなの釣っちゃったんだろう?」と呟きながら、また“テクテク”と始めた。

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