海から遡上したヒレピンの正体  管理人の獲物

それは今から7年ほど前のことだ。

その年の桂川は、ブラウントラウトの40センチ前後が、寿の堰堤でよく釣れた年で、釣り師である私の血は毎週のように騒いでいた。

いつものように朝一番に良いポイントへ入り、ウェットにドロッパーをつけたタックルで狙っていた。対岸の岩場が妙に怪しく、数日前にもそこからいいサイズのレインボーを引きずり出したのだ。

何度目のキャストだったろうか、フライをダウンクロスで流していると小さなアタリがロッドから伝わってきた。ロッドを煽るとズシリと重い。グングンと手応えを感じた。

「ヒット!!!」と声高に友人に伝える。手応えは充分にあったのだが、思ったほど引きは強くなく、ラインの回収は早い。波間に見え隠れする魚体は心なしか色が茶色い。

「ブラウンかな??」でも、もっと明るい茶色で妙な動きをしている。下流に下った奴は流れに揉まれながら徐々に姿を現した。

ネットを使わないでランディングした魚体はヒレピンでそれは見事な魚体!?だた。

「こいつ、海から上ってきたのか、大変だったろうに。」

友人は腹を抱えながら記念撮影をし、ヒレピンの奴を私はそっとリリースした。

そのときの記念撮影は以下の写真である。

足の欠損がなく全て整った見事な魚体!?。雨の中、わざわざ釣りにきたかいがあったものだ。フッキングは口にがっちりしていたので、バレる心配はなかった。

それにしてもこいつ、どうやってここまでたどり着いたのだろうか?

田舎には結納で納めたものを川に流す所があるそうな。こ奴もそんなめでたいスルメイカだたのだろうか。丸まったエンペラから見ると、流されてからそれほど経っていないだろう。リリースした今はきっと元気よく海で泳いでいるに違いない。

追記
私は今までにいろんなものを桂川で仕留めている。原付バイク、洗濯機、自転車、風呂桶、革のベルト、コカコーラなどなど。でもホンダのCB400だけはどうしても上げることができなかった。

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