ショスタコーヴィチ:交響曲第8番 PROA-31
レニングラード・フィル
★★★★
暗い、とにかく暗い。
鬱々として暗いのではなく、アダージョだけでなくアレグロ&フォルテッシモで暗いのだから、その陰惨さたるや筆舌に尽くしがたい。第3楽章と第4楽章のアタッカなど、幾千もの地中の死者が土の中から呻いているような音楽だ。聴いていてだんだんこうべが垂れてくる。
全曲聴き通すにはかなりなテンションとエネルギーを必要とするが、何とか全曲聴き通すとそこには確かな感動がある。漆黒の闇に差す一筋の曙光のような終結部は、ひび割れた心にじんわりとしみ通って隙間を埋めてくれるようだ。
それにしても、第4番にせよ第15番にせよ、ショスタコの消え入るような終結部の美しさには舌を巻く。実演で聴いたらさぞ感動的だろう。
ムラヴィンスキーには他にも1960年ロンドン楽旅の際のライブ録音があるが、録音も演奏もこちらのほうがよい。
ちなみに、これもタワレコの独自企画盤。クラシックなんて今さら儲からないだろうに、その企画力には頭が下がる。
(07/4/8記)