ショスタコーヴィチ:交響曲第6番(1965年盤) BVCX-4028
レニングラード・フィル
★★★★
「ルスランとリュドミラ」と同じ日の演奏。それだけに完璧なアンサンブルには舌を巻く他ない。
僕は通常フィナーレ(第三楽章)しか聴かないが、しかしこれは何という音楽なのだろう。一見するとただのお祭り騒ぎのようだが、聴き込むうちに作曲者の冷笑的な眼差しが垣間見えてくる。それは何(誰)に向けられたものなのか。それを考えれば、作曲者がこの音楽に込めた意図が見えてくる。
ムラヴィンスキーはこの冷たいユーモアにあふれた音楽を、どこまでも即物的な一直線のテンポで駆け抜けさせる。この突き放したような素っ気なさが、かえって音楽に込められた皮肉を際立たせている。
終演後の拍手は熱狂的で、「ブラボー」の声すら上がっているが、これが演奏された時と場所(1965年2月21日、モスクワ)を考えると、その意味することころは興味深い。
(07/5/6記)