ショスタコーヴィチ:交響曲第12番「1917年」(1984年盤) VICC-40257
★★★★

 曲目としては今イチマイナーで、演奏会の曲目に上ることも滅多にないが、個人的には大好きな一枚。

 とにかく金管と打楽器が壮絶に鳴りまくる。まさに音によるロシア革命というに相応しく、第一楽章は聴いていて興奮してくる。いざ立ち上がらん、という気にさせられる。一方、フィナーレは革命の凱歌のはずなのだが、例によってムラヴィンスキーは悲劇的な音楽に仕立てる。金管の咆哮と打楽器の強打は、人民の苦痛の呻きにしか聞こえない。しつこくいつまでも引き延ばされるため、余計に悲劇性が強調される。いずれにせよ、楽天的な音楽ではないが、身体にエネルギーを注入されることは間違いない。

 ムラヴィンスキー最後の録音であるが、アンサンブルは完璧。この演奏の全曲の映像が残っているが、これがまたすごい。80を過ぎた巨匠は、タクトを持たず簡潔な身振りで大編成のオケを手足のように操る。萌える。

(07/3/11記)

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