シューマン:交響曲第4番 POCG-2358
★★★★★
巷間言われている通り、フルトヴェングラーがスタジオ録音で聴かせる最高の演奏。彼がライヴでしか活きない勢いだけの指揮者ではないことの最良の証左である。
しかし、音楽が活きていることは無類である。音楽自体は大して面白いとも思えないが、あらゆる部分がある得べきテンポ、バランスで再現され、聴いていてワクワクしてくる。次々と移り変わる表情の変化が美しい第一楽章、リズムの弾みが愉しい第四楽章が素晴らしい(コーダの強烈なアッチェレランドは凄まじいの一言)が、白眉は大きなクレッシェンドでつながれた第三楽章と第四楽章のブリッジパッセージだろう。雲海の果てから陽が昇るように、弦の刻みに乗って管楽器の響きが膨れあがっていく。聴いていてこんなに胸が躍る音楽はそうはない。
シューマンの交響曲は構成が晦渋だとかいうのが一般的な評価らしいが、この演奏を聴いている限りではそんなことは一切感じさせず、前進するエネルギーに満ちた愉しい音楽である。クラシック音楽にとって演奏の良し悪しが如何に大切かを実感する一枚である。
(07/5/6記)