レスピーギ:交響詩「ローマの松」 POCG-3229
小澤征爾指揮 ボストン交響楽団
★
NHK-BSだったと思うが、テレビで晩年のトスカニーニが同曲のクライマックスを振る映像を観た。80を過ぎた老巨匠が汗びっしょりになってオケを煽り、華麗にして凄まじい音の祭典を繰り広げる様に手に汗を握った。これはすごい曲だと思い、さっそく翌日CDを買いに行った。
当時はあいにくまだ新宿には大きなレコード屋がない頃だったので、ヨドバシカメラのCDコーナーに頼るしかなかったのだが、トスカニーニのCDはなく、店頭にはこれしかなかったのでやむなく買って帰った。
帰宅して聴いて失望した。CDを聴いてこんなに失望したことは、後にも先にもない。トスカニーニの壮絶な演奏とは似てもにつかない、たがの外れた生ぬるい演奏である。洗練とかそういう問題ではない。きらびやかな管弦楽法も完全に死んでおり、平板でのっぺりしたオケの響きにイライラするばかりである。
なので、最初に聴いて以来一度もこのCDをプレーヤーに載せたことはなかったのだが、10数年ぶりに聴いてみてやっぱり腹が立った。宇野先生に言わせれば、「小澤のレスピーギなど買う方が悪い」ということになるのだろうが。
後に再発されたトスカニーニのCDを買うことになるのだが、当然こちらは愛聴盤である。当盤より25年以上前の録音であるが、技術の差を超えて遙かに輝かしい音がする。当然こちらは★×5。
(07/3/12記)