黛敏郎:交響詩「立山」
黛敏郎指揮 東京交響楽団 TCCL-1025
★★★☆

 歴とした現代音楽でありながら、BGM的に聴ける、楽しい曲である。音楽之友社の「クラシック名盤大全 管弦楽曲篇」というムック本の中で、片山杜秀氏が「日の丸を振りたくなる一曲」と評されているが、およそ「日本」というものが戯画化されているというか、ジャポニズムを音にしたような感じで、クラシックというよりはクラフトワークとかのほうに親和性がある音楽である。

 立山という厳しい山を描写しているだけあって、実に表現はクールだ。しかし、現代音楽的な小難しさはなくて、メロディーは親しみやすいし、全曲を通してオーケストラが賑やかに鳴るので実に愉しい。第二楽章のシンバルやティンパニなどの打楽器連打だけで奏される部分など、スピーカーが躍動するようで気持ちがいい。録音も優秀である。

 現代音楽っちゅうもんもたまには、と思ったときに最適な一枚である。ところで、これはタワレコの独自企画として初CD化されたものだが、こういう隠れた名盤に眼をつける辺り、やはりタワレコはいいレコード屋である。

(07/3/6記)

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