ハチポチ ★★★☆
真綾さんほどの確固たる独自の世界を表現できるアーティストであれば、やはり一貫したコンセプトを基に作り込まれたオリジナルアルバムでないと醍醐味を味わうことはできず、シングルコレクションのごときものはアルバム未収録の曲が聴けるという以外にあまり価値はないと思っている。なので、このアルバムもレビューを書くために久しぶりにプレイヤーに載せた次第。
しかし、改めて聴くとなかなか良い。いずれも初期の曲なので、10代特有の心の揺らぎがよく表れていて引き込まれる。「Light of love」などはその最たるものだろう。多分今この曲を歌えばもっと安定した歌を聴かせるのであろうが、恐らく物足りないものになるだろう。「奇跡の海」は「約束はいらない」をもっと深化させたもの。「プラチナ」はキラキラしていて本当に楽しい。明るさ一辺倒で成功した唯一の曲ではないだろうか。
三十路も間近になり、しみじみ若さというものがそれだけでいかに希有な能力であるかを感じる。得ることは叶わず、ただ失うばかりだ。その代わりに人は成熟を得るが、それが若さの穴を埋めるものにいつもなり得るとは限らない。最近の彼女の歌を聴くと、とみにそのことを考えてしまう。
(07/3/7記)