DIVE   ★★★★☆

 コンセプトが明確で一貫しており、アルバムの完成度としてはこれが一番ではないかと思う。

 生きていく上で、あるいは誰かを愛する上で避けられない不安。それを透明でありながらかすかに影を孕んだ彼女の声が浮き彫りにしていく。モノトーンな音作りがそれを助長する(リーフレットの写真がモノクロなのも、このアルバムのコンセプトを上手く反映している)。

 クオリティだけで見れば、これがベストなアルバムかもしれない。しかし、個人的にはこの暗さに身を浸すには覚悟というか、ある程度テンションが高いときでないと無理なので、プレイヤーに載る頻度はあまり高くない。

 「ユッカ」は文句なしの名曲。彼女の全ての曲の中でベストかもしれない。あとは「I.D.」と「月曜の朝」。彼女の声の影の部分が遺憾なく発揮されていて好きである(彼女の前向きな明るさが好きな人には好まれないだろうが)。

(07/3/4記)

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