坂本真綾:トライアングラー
★★★
まあやの久しぶりの「菅野さん回帰」となったわけだが・・・。
彼女としては、そして菅野さんとしてはごくごく平凡な歌だと思う。路線としては「イジリス」あたりといえば大ハズレではないだろう。それでもまあやの声がのびのびと弾けているのは確かであり、本来の美しい声が堪能できる。少なくとも欲求不満しか残さなかった全2枚のアルバムよりはずっとマシである。
個人的には詞がいただけないので、日常的に聴くことはないと思うが、まあやの声を楽しむという意味では十分ファンの渇を癒すに足る出来だと思う。B面は可もなく不可もなし。
誤解を恐れずに言えば、仮にまあやが菅野さんと組まなければいい歌が作れないアーティストだったとしても、そのことで彼女の価値が減るわけでは決してない。何でもフルトヴェングラーでたとえるのは私の悪いクセだが、この大指揮者もバッハやモーツァルト、ブルックナーではとんでも演奏をしでかしてしまうのだ(本人は信念を持って大まじめにやっているのであるが)。優れたアーティストであればあるほど相性が合う相手が限られるのはむしろ当然だと思う。
他の世界を見るということ自体は大変正しいことだと思うが、大切なのはよい歌を歌うことであって、誰と作るかとかではない。
菅野さんと組んでさえいれば聴き応えのある歌を歌ってくれることが当盤でよく分かった。やはりまあやはずっと菅野さんと組んでいるべきだと思った。
08/5/10記