Perfume:Perfume
★★★★

 3年前だったら見向きもしなかった類の音楽だが、今はこういう音楽が実にしっくりと耳に馴染む。音楽は元気を注入するためのドーピング薬みたいなもので、ひたすらノリノリでなければと思っていた。しかし、今は癒し系の音楽を欲するようになっている。

 世間での受け取られ方はよく分からないが、私はこのサウンドにはとても癒される。ファミコンの音楽みたいなピコピコサウンドに、エフェクトで機械的に処理されたヴォーカル。とても非人間的な音楽だが、トゲのないツルツルピカピカした音が、トゲだらけになった心をスムーズにしてくれるのである。

 不思議なのが、どこにも感情などこもっていない歌なのにもかかわらず、彼女たちの歌にはどこか切なさのエッセンスが漂っていること(「コンピューターシティ」や「Perfume」、「wonder2」あたりが特にそうだ)。ため息を吐くようなものではなくて、二昔前の少女マンガのような切なさ、とでもいうのだろうか。ピコピコキラキラな音なのにもかかわらず、ただ単に脳天気なわけではないところも大きな魅力だ。

 少女だけが持つ一瞬のきらめき。それを優れて今風に表現しているのがPerfumeの歌なのだと思う。

(08/3/1記)

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