平野綾:LOVE★GUN
★★★☆
こんなことを言うと他のファンから刺されそうだが、あえて言ってしまうと、僕は歌っているあーやは大好きだが、あーやの歌自体には大して期待をしていない。歌声が魅力的なわけではないし、本人はロック志向を公言しているが、彼女は決してロックな人ではない。それはフィジカルな面でも、ソウルの面でもである。
なので、一連の新曲があーやが憧れているというアヴリルの出来損ないになってしまうことを僕は怖れていたのである。
結果的に、この第一弾シングルについてはそれは杞憂に終わり、ホッとしている。
強いていうならゆるいロック、とでも呼ぶべきだろうか。いたってチープなガールズロックである。しかし、それでいいのである。
表現者である以上、オリジナルの世界を持つことは当然であるが、それは必ずしも苦労して作り出さなければならないというわけではない。あーやの場合、その存在そのものが独自の世界の表出であって、本人を含めてあえて外からいじくり回す必要はないのである。
その意味で、この一枚は、音楽的な良し悪しはともかく(正直大して面白いとは思わないが)、今のあーやが変に加工されることなく、上手く表現できていると思う。
このCDはDVD付きで\1800なわけだが、CDに\300、プロモDVDに\1500という感じである。このPVは良くできていると思う。
この調子で後2作もいってもらいたいものである。
(以上07/10/20記)
NEOPHILIA:★★★☆
これはタイミング的な問題だから致し方ないのだが、10月下旬にみのりんの「Contact」が出てしまったがために、あーやのシングルは影が薄くなってしまった感がある。もっとも、この間僕はアメリカにいたのでこれは勝手な思い込みかもしれないが、少なくとも僕の中ではそうだ。あーやのシングルもみのりんのアルバムも友人にアメリカに送ってもらったのだが、アメリカにいた07年12月上旬までの間、みのりんばかり聴いていてあーやはほとんど聴かなかった(はっきり言って今現在もそうであるのだが)。
だからといって、あーやのシングルが聴くに値しないのかというと、決してそんなことはない。3ヶ月連続リリースの2枚目となるこのシングルは、3枚の中では一番聞き応えがあると思う。
3枚ともにその色分けがはっきりしており、これは交響曲でいうところ緩徐楽章の役割を果たしている。必然的に落ち着いた感じになるわけだが、キラキラ一辺倒でない表現力豊かな歌を聴かせてくれる。この点については表題曲よりも、2曲目の「forget me nots...」のほうが顕著だと思う。
元々かなり低い声も出せる娘なので、こういう感じの歌をもっと歌わせてあげると、より音楽に充実するのではないだろうか。
ちなみに、曲調上しょうがないが、PVは一番これが面白くない。
MonStAR:★★★☆
これは等身大のあーや、という感じ。特に表題曲はあーや同様にとても可愛くて、聴いていて明るい気分になれる。
みのりんや奈々さんと違って、音楽的に耳をそばだてると言うほどではないが、あーやの良さを十二分に引き出しているという点では3枚とも実に優れている。菅野さんの元を巣立って以降の真綾さんが全く実力を発揮できていないことなどを考えると、今のランティスのあーやの育て方はいい線行っていると思う。
あーやの書く詩は、惹かれることもないが「?」と思うこともないので、及第点と言ったところ。作詩の才能という点では、真綾さんは素晴らしいと思う。
(以上08/1/6記)