ブラームス:ピアノ協奏曲第2番
Pf:バックハウス 指揮:ベーム ウィーンpo
★★★★★

 ウィーンフィルが例外的に定期公演での共演を認めた巨匠と、ウィーンフィルに「下手くそ!」と言えた最後の巨匠と、世界最高のオケががっぷり四つに組んだブラームスである。こんなにも豊かでコクのある音楽というのはそうあるものではない。

 巨匠と言えば聞こえがいいが、要はじいさん同士がつるんだやたらと渋い退屈な音楽かといえば、決してそうではない。ピアノもオーケストラも音楽の表情によってその音色を自在に変え、飽きさせることがない。特に第二楽章のAllegro appassionatoは融通無碍の極みであり、老匠の鮮やかな手練手管に酔わされてしまう。聴いていて本当にドキドキする。

 小手先のテクニックなんてものとは無縁の、音楽への深い共感と、共演者への深い信頼が生む、まさに再現芸術の粋である。ピアニスト・指揮者・オーケストラの三者による三重奏と言ってもいいのかもしれない。

 クラシック音楽を聴く醍醐味をお腹いっぱい味わえる一枚である。

(07/8/21記)

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