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 『ナノ・フォトニクス

      −近接場光で光技術のデッドロックを乗り越える−

 大津元一 著

   四六判 212頁 定価 (本体1800円+税)
   ISBN4-946553-03-7 C0055

《内容》

 本書の題名と内容との関係を一言で表すとそれは、「近接場光」で「ナノ」メートル寸法の微小な「フォトニクス」技術(光を利用した技術のこと)を実現する、ということになる。
 光の研究とその応用技術の開発の歴史は長く、レーザの発明によって通信、情報処理、加工、医用などの分野が革新的に進歩した。しかし現在、光技術は行き 詰まりを迎えつつある。それはあたかも、高速道路を快調に走っていた車のまえに大きな岩が立ちふさがっているようなものである。
 それでは、どうしたらこのデッドロックを乗り越えられるのか? その手段を表す言葉が「近接場光」なのである。本書の目的は、これを乗り越えるためのパラダイム・シフトの方向を紹介することにある。
 光技術にかかわる研究者、技術者のために、著者の経験をもとにこぼれ話も交えて「ナノ・フォトニクス」をわかりやすく説明し、また、本書の内容を補足的により詳しく説明するために、巻末に「詳説」を設けてある。

《主要項目》

第1章 光技術にデッドロックあり

第2章 近接場光でデッドロックを乗り越える
近接場光−その発生と測定−/近接場光の利用

第3章 プローブ開発の勝利
ファイバプローブが決め手/ファイバ加工によるプローブ

第4章 見る
見るための装置/見た結果/見ることの将来−特に生物試料に関して−

第5章 分析する、診断する
近接場光を使う利点/横方向pn接合の多角的分析/半導体の単一量子ドットのフォトルミネッセンス測定/ラマン分光分析/実際のデバイスの分析、診断/分析、診断することの将来−特に電子デバイス、光デバイスに関して−

第6章 加工する
なぜ、どのように加工?/「削る」ことより「積み上げる」こと/ナノ・フォトニクスのための集積化へ向けて

第7章 夢のメモリ
光メモリは崖っぷち/問題点の抽出と解決策/実現に向けて

第8章 そしてアトム・フォトニクスの幕開け
近接場光による原子操作とその原理/中空ファイバによる原子の誘導/原子の誘導の発展

第9章 わかっていないこと、なすべきこと−あとがきにかえて−

詳 説
光の回折限界/近接場光の発生/近接場光の測定/近接場光と光学の教科書に記されている 「エバネッセント光」との違い/近接場光は何色?−波長との決別−/走査プローブ顕微鏡のファミリー/ファイバプローブ先端を電子顕微鏡で見ると?/表面 プラズモンとは/せん断応力と虚像/分解能評価のための標準試料として回折格子が使えるか?/半導体とそのなかの電子のエネルギー帯/量子ドット/光の吸 収と発光/光子とその計数−微弱光検出のために−/ラマン効果(ラマン散乱)/非線形光学効果/近接場光で小さな物質を堆積できるのはなぜか?/磁気ディ スクメモリとその限界/再生ヘッドの構成について/再生時のトラッキングの回避/回折限界達成のためのMarechal criterion/原子の熱運 動の速度と等価温度/光による双極子力/原子の漏斗


米田出版 発行