落合村字鶴牧
川が山から落ちて来て、合するところ落ち合い
そこに人が集まり、集落ができる
水に潤い、泥鰌や田螺や鮒や蛙や沢山の生き物がいて
亀もいるし、白鷺もいる、空には鶴が舞っている
鳥は一億年以上栄えた恐竜達の直接の子孫を言われて久しい
恐竜達が到達できなかったかもしれない最高の美を獲得している
雲雀や鶯や不如帰の鳴き声は妙なる音楽を越えて神域に達し
白鷺の立ち居振る舞い、鶴の飛翔や降り立つ姿は永遠の美
人が文明を獲得し、世界を変え始めてから一万年経った
始めの9950年間は鳥を尊敬し、鳥の美しさに魅了された
住居は夏を宗とすべしいう掟が守られ、鶴や家鴨と一緒に暮らした
湿地帯の水辺からの風が涼しく、森の木陰で憩うことができた
しかし、今は鶴の住処を奪い、蛙の声も聞こえないように
外界と遮断して、冷暖房のきいた四角の建物ばかりつくる
鶴のいた水辺は永遠に続く愛と祝福の約束の場所だったのに
白々しい四角の建物の中で冷房して外を砂漠のように熱くしている
ああ、せめて住居は夏を宗とすべしという掟を思い出して欲しい
平成14年8月2日の2
陽平