■自衛権と戦力 2005/10/31
憲法9条2項を削除する意見の改憲論も、2項をそのまま守る護憲論も同じように2項の意味を取り違えているように思います。改憲論者は2項のために自衛のための戦争もできないので削除したいと思い、護憲論者は自衛のための戦争もすべきではないと思って2項を守りたいと思っているようです。
まず戦力の不保持ですが、戦力は防衛力とは違います。戦力はなくても防衛力を保持していれば、自国の防衛はできます。次に交戦権ですが、これは防衛権ではありません、宣戦布告する権利です。交戦権はなくても防衛権により、予防的先制攻撃が防衛として定義できれば、予防的先制攻撃も可能です。
満州攻撃や真珠湾攻撃は戦力により実行されています。防衛力ではこれらの攻撃は実行できません。東京裁判のとき、日本側弁護団はこれらの先制攻撃を自衛のための戦争として弁護しましたが、自衛権とは認められませんでした。その攻撃を事前に周知させていなかったので、予防的とは日本以外の国には認められなかったのでしょう。
2項を削除するということは満州攻撃や真珠湾攻撃のような攻撃を可能にするということになります。その理由は自衛権の名の下に、予防的先制攻撃のために戦力を使用できることになるからです。