■憲法9条改正案(玉川私案)              2005/10/05

自民党が8月に発表した新憲法草案「第1次案」の9条の改正案は、戦争と防衛に関する定義、現行9条と自衛隊との関連などを考慮せずに作成されているように思います。またこの案では、戦力を保持できることになり、1928年に成立した不戦条約の内容のようになっています。不戦条約は期限がないために現在でも効力を持っていますが、第二次世界大戦を防ぐことはできなかったという反省は必要だと思います。

自民党案に反対するとともに、戦争と防衛に関する定義をもとにして、以下のような憲法9条改正案を作成しました。

【憲法9条改正案

第2章 戦争の放棄と防衛の保持

第9条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力に
  よる威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。

2 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認め
  ない。

第9条の2 日本国民は、国際平和を誠実に希求し、その維持のために諸国民の協同により発動される
  国際平和維持の活動に参加し、その国際協力のもとで自国の安寧幸福の保持を求める。

2 前項の目的を達するため、防衛軍その他の防衛力を保持し、常に諸国民との協同を旨とする。


【変更追加部分の説明】

「第2章 戦争の放棄」となっているところを「第2章 戦争の放棄と防衛の保持」としました。これは防衛に関する記載を追加するためです。現行9条1項と2項は変更ありません。第9条の2として防衛に関する記載を追加しました。自民党の案では防衛に関する記載のために、9条2項を削除していますが、それは戦争と防衛に関する定義がしっかりできていないから、そのようなことをしたのだと思います。戦争と防衛の定義が正しくできれば、防衛についての条文を追加するために9条2項を削除する必要はありません。

以前から、述べていますように、戦争と防衛の定義を次のようにしています。
戦争は「攻撃は最大の防御である」という命題で規定され、防衛は「防御は最小の攻撃である」という命題で規定されます。そして、「権利としての戦争」、「義務としての戦争」、「義務としての防衛」、「権利としての防衛」の4種類があります。この定義であれば、戦力と防衛力は異なるものであり、現行の2項と何の矛盾も起こりません。

「自国の安寧幸福の保持」については、硫黄島守備隊海軍部隊最高指揮官 市丸少将の米国大統領「ルーズベルトニ与フル書」の終わりの言葉、「凡そ世界を以て強者の独専となさんとせば永久に闘争を繰り返し遂に世界人類に安寧幸福の日なからん。」の安寧幸福を利用させていただきました。