■論理的誤謬 2005/07/14
2005/7/7 asahi.comの政治ニュースに以下の記事が掲載されました。
「自民党新憲法起草委員会(委員長・森前首相)は7日、改憲の「要綱案」を発表した。9条2項を改正し、自衛のための武力組織を「自衛軍」と名付け、軍隊であることを明確に位置づけた。」
自衛軍という名称は矛盾を抱えた名称です。軍は「権利としての戦争」を実行する組織のことを示します。歴史の中で使用された漢字としてそれ以外の意味はありません。神武東征軍、征夷大将軍、蒙古軍、ローマ軍、朝鮮軍、満州軍、関東軍、北支方面軍、南方軍、ビルマ派遣軍。これらはすべて「攻撃は最大の防御である」という「権利としての戦争」を遂行する組織です。もし自衛軍で想定されている組織の目的、手段が「義務としての戦争」、「義務としての防衛」、「権利としての防衛」として定義できるのであれば、9条2項を変更するのではなく、別条として追加すべきです。
自民党新憲法起草委員会の方々は単に9条2項を誤解していて、これでは防衛ができなくて不安だから変更しようとしているのか、再び真珠湾攻撃や満州攻撃のようなことをしたいのだろうかという疑問が起こります。
この2つの疑問のうち前者は肯定、後者は否定されるとすると自衛軍は現行の自衛隊と同じ目的、手段を持つことになります。それにもかかわらず9条2項に違反するので、それを変更するというのであれば、自民党新憲法起草委員会は自衛隊は現行の9条2項に違反すると思っていることになります。
当然自衛隊は憲法違反ではないので、この論理的誤謬は自衛軍の創設のために変更の必要のない9条2項を変更するという意図によってもたらされたことになります。