■9条1項があいまい???    2005/05/13    

9条1項が重要であり、2項はその目的達成の手段というご意見に賛同いたします。

しかしながら、1項が曖昧であるというご意見には賛同できません。
曖昧に見えるのは、戦争の定義と放棄の定義がしっかりできていないからと思います。
9条は戦争を発動する権利を放棄しています。この放棄の意味は義務を放棄するの放棄ではなく、王位継承権または相続権を放棄すると同じ意味の放棄です。
防衛の義務を放棄しているのではありません。戦争は防衛とは異なるものです。戦争は「攻撃は最大の防御である」という命題に従って実行されます。

真珠湾攻撃の理由は
7ヶ月後に石油備蓄が消滅し
全艦隊が碇泊港で錆付くまでの制限時間だった

満州攻撃の理由は
東洋と西洋の最終戦争を予見し
その戦争が各国民総動員の凄惨なものになることを歴史の必然性として予感し、科学技術の発達がもたらす恐怖の決戦戦争の中で、自国が生き延びるための必要最低限の資源確保だった。

これらの攻撃の立案者にとっては
生き延びるために必要な最低限の攻撃であった
のだとしても、憲法9条はこのような攻撃を国権の発動として放棄するということになります。

2項は重要ではありませんが、交戦権を認めないというのは、好戦的な権利を認められないということであり、攻撃をしないということと同じ意味です。

従って、9条は防衛や自衛権について何の規定もしていなくて、防衛や自衛隊とは何の関連性もないものです。

正当防衛や自衛権がないというのは、生きている限り想定できません。
自衛権や自衛隊の存在の明記が必要であれば、別条を作って規定すべきと思います。

その意味で、戦争の定義と防衛の定義が必要と思います。「防御は最小の攻撃である」という命題が防衛の定義として成立するかどうかです。