ナオミの婚礼
生と死は壱と零との必然の世界
コンピュータの力の限りの計算ですべてが決まり
生の先には死が必定、すべての色は即ち空
生の憂鬱と絶え間のない憤りが心を覆う
生命は偶然の奇跡として立ち上がり
必然の憂鬱の中で、長くて暗い日々を過ごし
未来の死に向かって、重い足を引きずる
偶然起こった結婚は、唯一有り得る愛の奇跡
カナの婚礼で器一杯に葡萄酒が満たされたように
偶然の奇跡が憂鬱と憤りの雲を払いのけ
歓喜と優しさと希望で心が一杯満たされる
必然さえも明るい未来を描き出す
お客様が憂鬱の中にいるならば
幸せの葡萄酒をこころゆくまで飲み干して
奇跡が永く続くように、必然なんか忘れてしまい
すべての色はバラ色で終わりなきように
2002年1月20日
玉川陽平