97.夜空の白い鳥

雨雲が垂れ込めた都会の夜空
明るいイルミネーションが
止んだばかりの雨露で
ぼんやり僕達を照らしている

愛する女は傘を斜めに肩に掛け
ナップザックを背中に背負って
曇り空の中の苦悩と不安に包まれて
愛の先にはいつも絶望が待っていた

白い大きな二羽の鳥が夜空に現れ
上になり下になり恋人同志のようだった
女と僕は鳥の夜間飛行を驚き見つめた
恋する僕達の象徴なのかと思った

夜空の中を北から現われ
南へ回り、東の空へ飛んで行った
最後は小さな二つの点となり
黒灰色の空の中へ消えてしまった

僕は立ったままずっと見つめていた
いつの間にか、隣には誰もいなかった
女は少し離れたベンチに座り
恋する鳥に意味はなく愛の終りを感じていた