87.美への渇仰
存在の不安と魂の孤独と美への渇仰が
打ち寄せる波のように代る代る押し寄せてくる
不安と孤独と渇きの暗い波に
どっぷりと首まで漬かっている
アミノ酸が重合されて出来た単細胞生物は
常に死と生の移ろいの中に、光と影の狭間の中にいた
生まれる不安、死ぬ不安、震えるエネルギーの揺らぎの中に
不安定な振動する紐として生きている
DNAがコピーされ、神秘的な蛋白質で着飾り
合体し融合することを求める孤独な美への巡礼
美とは、存在の形式であり、危機にあった単細胞生物が
合体することによって、新たな美の形態を獲得した
この渇きは存在への祈りであり
美醜の彼岸にある形式への憧れ
沢の蛍が魂となって愛する人を探すように
すべての中に美の形式を見つける為の
試練、悩み、憧れ、賛美、執着
渇きは信仰となり、砂漠に水が染み込むように
相手と合体することを夢見続ける