69.水色の恋
恋って、軽いものだと思うわ
浮気だって、不倫だって、純愛だっていいじゃない
いつでも、どこでも、誰とでも恋すれば
僕もそう思うよ
でも、羽のように軽いとは、思えない
鉄ほど重いとも、思えない
水の中で、ミジンコが、単為生殖をしているとき
羊水の中で、卵精子結合体が、系統発生を高速で繰り返しているとき
鯨が、海で異性を呼ぶとき
生きている間は、いつでも、どこでも恋している
水の中の水色の恋
両手に蜜蜂、両手に花、梅に鶯、花に風
空気の中のピンクの恋
重さしか持たない影の物質が
重さを持たない光を恋したときから始まった長い恋の物語
くるくると拡げられる四次元の恋の絵巻物