67.辛夷の精

裸で静かに横になっている
体を合わせて、一緒に動いても、静かに黙っている
白い辛夷の花が、春冷えの風に揺れるように、動くと、静かに溜息を吐く

胡蝶の舞のように、止まった時間の中で、満開の辛夷のように、揺れている
辛夷の少し湿った花びらにキスすると、酸っぱい、香りがする
白い花びらのような、手の平にキスすると
汗の湿りが、香しい

もし、辛夷の花が、僕の為に、舞い、揺れていて
この白い裸が、僕の為に咲いているとしたら、その豊かさに、溜息が出る
「男の静かな、感じたときの溜息は、いいもんだ・・・」