60.完璧な世界
アフロディテと一緒にシャワーを浴び
七頭身の胴のくびれ、小さな乳首、柔らかな手の平
細い足首、手の指、足の指の一本一本にキスをした
裸の体が光り輝き
海から生まれたばかりの奇跡のような美しさを示していた
美と感動に包まれて
日常の世界に帰る為に春の夜の中を歩いていた
気がつくと、回り一帯に辛夷の花が咲き
夜の中に白く浮き上がり
薄曇りの月と一緒に幻のような世界をつくっていた
アフロディテはギリシャ以来、いや、それ以前から
何度も何度も僕達の前に現れ、辛夷の花は何度も何度も咲く
僕達の日常の世界は奇跡の中の世界で
何度も示される完璧な美の世界だ