52.生命体 V

地球の生命体全体が一つの大いなる意志の元に統御されているとしたら
それは、今ヒトキラーウィルスを作り
ヒト種の数をバランスの良い数に減らそうとするだろうか

ヒト種繁殖の原動力となっている異常に強い性欲を利用して
確実に死をもたらす

女の方が男よりも種としての基本になっていることが
性に対する意識によって分かる
女は性欲を封じ込め組織の為に献身し
処女を尊敬することができる

男は全体に奉仕するときに性欲を封じることができない
そして処女を軽侮する
50代の品の良い独身の看護婦が処女かどうかについて
昼食時に下卑た話題にする − そんな奴は呪われろ 

ヒトキラーウィルスはどのような意志の統御の元に現れたのか
単なる偶然か、宇宙の進展の必然的な現れか
生命は常に偶然を元にして、必然を獲得していると言われる

もし、僕達が医学的知識の少ない中で
ヒトキラーウィルスに対処したとしたとすると
性に対して非常に厳格な社会の掟を作り
孤立したヒトの集団が生き残る

あるいはキラーウィルスに感染しても生き残るように
ヒトの遺伝子が否応なく進化した集団が生き残り
ヒト種の中にその遺伝子が増えて行く

生き残る生物種は性に対して厳格な掟を持っている
女王蜂は働き蜂である処女蜂を尊敬しているが
自分に付き纏う雄蜂は軽蔑している

そうしないと組織は維持できない
女王蜂が働き蜂を軽蔑し、雄蜂と夢ばかり見ていると
働き蜂に組織から追い出されて

飢えて凍えて死ぬだろう