51.六十兆個
六十兆個の僕の細胞にとって僕の意識は何なのか
至高の神の意識のように大いなる意識なのか
悪魔のように卑劣な最低の意識なのか
僕は細胞の一つ一つを手の指、足の指の一つ一つを
掛替えのないものとして愛している
射精される五億の精子の一匹一匹を愛している
歌舞伎町の偽りの愛の中で外へ飛び出し
死滅する精子に愛情を感じるが
死ぬことを止めることはできない
時間を止めることができないのと同じような気持ちだ
神様が僕達一人一人を愛してくれていることは疑うことができない
しかし、非可逆な時間の中で何かを変えることは難しい
非可逆であることが時間を存在させているのだから
でも、神様は知っていて下さる
僕達がどのように生き、どのように愛し
どのように死んだかを