42.大いなる意識

私と付合うには意識を消さなくては駄目だ
と言って,、愛する人は去ってしまった

バプテスマのヨハネは
わたしよりも力のあるかたが後からおいでになり
大いなる者として聖霊と火とによってバプテスマを授ける
と宣べ伝えた

大いなる者とは大いなる意識を背負うものだ
イエスが背負った十字架は大いなる意識として世界を蔽った
ヨハネは、イエスのことをわたしよりも先におられたかたとも言った

僕より先にいた愛する人は僕よりも若い
アルテミスのような純潔の裸身で力強い筋肉
マノン・レスコーのような火と聖霊の激しい情熱
同時に四人の男をそれぞれ別の方法で愛している
映画監督助手、音楽家、技術者、水商売の男

夜の女王のような愛と憎しみの甲高い笑い声を持ち
従容と死に就く長老のことを涙を流して語る
サロメのような狂喜の踊りと熱い魂を
レゲエの鼓動の中で鎮魂する

パリのマロニエの下にいても原宿の欅の下にいても同じ
絶望と希望が交互に振幅一杯に揺れ動き
聖母マリアのような愛と優しさが
健気な裸身の中に包み込まれている

僕に教えた、意識を消せと
その意味が理解できたとき、大いなる意識の存在に気がついた
愛するものの為に死ぬことができる
大いなる意識は愛という光で空間の微小な単位を
時間の微小な一瞬を埋め尽くしている