3. 一パーセントの希望

一九九一年夏、パリに三人の日本の女がいた
一人は馬鹿、二人目は嘘つき
三人目は最低の女

馬鹿な女は哲学の学生とエンジニアが
実体と言葉のどちらがより本質的かについて
話しているとき
二時間の間に三回、鶏と卵と言った


嘘つき女は最低の女が男とコーヒーを飲んでいる所へ来て

帰り道はとっても遠いから早くお帰りなさいと忠告した
実は五分もかからない

最低の女は男とみれば誘惑していた
東京でも、パリでも
十字架のイエス・キリストまでも誘惑しようとした

馬鹿な鶏、コケコッコーと鳴くがいい
嘘つき梟、ホーホーと鳴くがいい
淫乱黒鳩、クークーと鳴くがいい

九十九パーセント、今言ったことは真実だ
だが、しかし、馬鹿は賢い女、嘘つきは真に友情のある女
最低の女は神に愛される
最高の女なのかも知れない
という希望が一パーセント残されている