12.木の精
セーヌ川のそばの大きなマロニエの幹に
背を持たせ目を開けた女にキスをした
千の乳房を持った地中海のアルテミスが
地母神となって大地に根を張っていた
原宿の大きな欅に
背を持たせ目を閉じた女にキスをした
千手観音が欅の枝のような沢山の手で
僕を包み込むと死と再生を繰返す
地母神のドラマの中に捕らえられてしまった