18.意志の保有
人類の意志として、平和と幸福と自由と繁栄を望んだ
そして、近代精神はヒューマニズムを推し進めた
神と死の支配から、生と人間主義へ
人類の意志は神の意志に近づくことができるという希望が近代を推進した
しかし、人類という集合あるいは群は意志を保有することができなかった
何故なら、その群は保存量を持つことができない
エネルギー保存則をその群の中で満たすことができない
保存量を持たない群は永続的な存在のための条件を満たさない
石油と石炭と森林と酸素を消費しているだけで蓄積しているものは何もない
つまり、人類は存在の為の意志を持つことができない
森は存在と拡大の為の意志を保有することができる
何故なら、森という群はエネルギーを保存している
それは木材という石炭に変化するものあるいは石油に変化する微生物
太陽のエネルギーの流れの中で収支をバランスさせ環境を安定させている
それにより、森の群は意志を持ち拡大することができる
人類の拡大は環境の破壊とその群の破滅に到る
収奪と略奪を繰り返すのみでエネルギー収支のバランスを得ない限り
永く続いた恐竜の時代
エネルギー収支を保持したのは巨大なシダやソテツの森
森のエネルギー循環の環の中に恐竜も平和に暮らしていた
ティラノザウルスが他の恐竜を襲っていたとしても
結局、ティラノザウルスの群が意志を持てなかったように
人類という群も意志を持てずに歴史の中に消えてしまうのだろうか
植物が始めて地上に進出して以来、森のエネルギー循環の枠を越えたものはいない
石炭と石油と天然ガスをすべて燃やした後残るものは熱い砂漠と紫外線の直射
だから雑草は森の意志の中で行動している
人類の意志には何の協力もしない
人類も多くの他の類人猿や動物と同じように森の意志の中で暮らす一人の住人に過ぎない
単一種ではエネルギー保存則を満たせない