17.ポートランドの夕暮

別れの悲しみは
再会の約束によってしか癒されない
ワシントン公園のはずれの高台に座り
恋人と町とに別れを告げようとしていた

町の向こうに見えるウィラメッテ川が
昔と同じように水をゆったりと運び
ひときわ高い建物の窓ガラスに夕日が映り
地上と空とが光で結ばれ愛の絆を確かめている

町へ続く道が真直ぐに延び
両側の家や遠くの建物が悲しみの為に沈黙を守り
夕暮の中に溶け込んで行く木や山の影が
残された時間を刻んでいる

僕達は手を繋ぎ
静かな空と夕映えの雲が
時間を止めてくれることを
愛の語らいがいつまでも続くことを願った

しかし別れの悲しみは深く
目を見合すこともキスをすることもできず
ただ僅かに触れる指先が愛を確かめ
別れた後の孤独の予感を伝えている

秋風がその指先を冷たくして
別れの時間が来たことを思い出させ
再会の約束のみが僕達に僅かな希望と
立ち上がる力を与えてくれる

また会いましょう
ホートランドで