16.女友達

体中を愛が浸透していつも女友達のことばかり
自分の体の一部のように思考と感情が繋がり
一緒に脈拍を共有したときの感覚が持続して
自己自身のような愛惜と哀感の中に捕われる

相手の醜さも自分の醜さと同居して美に変身し
目で見た美と皮膚で感じる美とは違っていて
目は皮膚の延長となり目で見て精緻な構成に感動し
膚を合わせて精妙な心の動きに共感する

本当に愛は体を変形して相手に合わせる
花がこれ程に粧っているのは目のいい昆虫達を呼ぶ為だとしても
香りがこれ程にいいのは鼻のいい昆虫達を呼ぶ為だとしても
自分には目がなく鼻もないのによくこれ程の美を創れたものだ

生物が本当に相手を愛してしまったときには何でも可能
僕は女友達を本当に愛してしまった
僕の体を僕の心をどんな風に変えてもいい
相手の好みに合わせたい

花が昆虫や小鳥の好みに合わせて蜜をつくるように
自分の行為が相手に合っているのかいないのか
自分の思考が相手に合っているのかいないのか
全身で集中し感じ取る能力は五感をを超えている

この微妙な感覚はバクテリアも植物も
小さな昆虫達も持っている
この上もなく精妙でより高きものの感覚
単なる表情や言葉や動作以上のものが通い合う

僕は女友達のどのような心の動き体の動きにも
注意深く心と体を合わせることができる
山ほどの錯覚と誤解と勝手な想像の中の
一瞬の光かもしれないけれど