13.死にたがる人々

おお!
何という暗い眼差し
死者達の国からやって来た黒い妖精
宇宙が始まって以来積み重なった
夥しい数の死者達の群れ

その言葉の装われた明るさの中で
唇に浮かぶ暗い死の影
吐く息に纏わりつく死者の思い

膨張し切った宇宙が
ニュートリノの重さによって
収縮に転じるように
人々の際限なく膨張した希望が
死者達の静かな絶望に収縮する

今や、人々の生は頂点に達し
その願いは黒いカラス
死にたがる人々の群れとなり
黄色い太陽を目指す
死への希望のみが唯一、生を支え
死者達の群れが豊かな海に漂う

魚の群れが暗い底から
明るい海面に向かうように
生は過去のすべての死のフロンティア
延び続ける死の影の先頭に立って
なつかしい故郷を見るように
黒い妖精の眼差しに微笑みを返す