私の旅のお供


 昨年ヒースロー空港へ着いたとき、A-Zというロンドンの地図を持ってくるのを忘れたことに気がついた。以前は観光スポットになっている場所にでかけるか、どこかのお店で買い物をするぐらいだったから、特別不便を感じなかったのだが、数年前から、住所や通り名から場所を頼りに行きたい場所を探し出して訪れることが多くなっていた。A-Zは必需品だ。
 というわけで、早速、新たにA-Zを購入した。あーぁ、ちゃんと持ってきていれば、同じものを2つ買うなんていう無駄なことをしなくて済んだのになー、とケチな私はちょっと悔やんだ。
 旅のときに限らず、日頃から、私は忘れ物の名人だ。定期を忘れて電車賃を払って会社に行く羽目になったり、ハンカチを忘れて不便な思いをしたり・・・。
 というわけで、次の旅では忘れ物がないように、自分の旅の必需品をここにまとめておこうと思う。

A-Z
 通り名だけが記されているシンプルな地図である。ロンドンのみならず、ある程度大きな都市なら、その都市のA-Zがあるようだ。リヴァプールでもみかけた。
 本当は初めてロンドンに行った際に1冊購入したのだが、ビギナーの私には、エロスの像やらビッグベンやら目印になる建物や観光スポットの絵が載っている地図のほうが使いやすく、すぐに捨ててしまった。
 が、数年前、TVのポアロシリーズでロケに使われたマンションを見に行こうと思い立ち、マンションのある通り名しかわからなかったので、A-Zを購入。地図を読むのが得意な友人がいたこともあって、何とか探し当てることができた。以来、A-Zは旅のお供、私の必需品の1つになった。

カメラ
 昔から一眼レフにあこがれていた。RCサクセションが大好きだったころ、ギターのチャボの奥さんのおおくぼひさこさんがよくライブ写真を撮りに来ていた。その姿をかっこいいなぁーと、いつも遠くからながめ、いつかは一眼レフを買おうと決めていて、十数年前にとうとうEosを買った。
 とはいっても、写真を撮るのは旅行のときぐらい。イギリスに行くときは、Eos(フィルム)と食べ物を撮るためにデジカメを持っていく。最低1日36枚どり1本と考え、8日間の旅なら8本のネガフィルムを持参。たまに撮りすぎて、Bootsでフィルムを買い足すこともある。
 数年前のことだった。Eosでバシバシ写真を撮ってきたのに、帰ってきて現像してみたら、歯賭け状態で写真が撮れていたりいなかったりした。写真屋さんのせいかと思ったが、実はカメラのせいだった。昔の一眼レフには一部の部品にゴムが使われていて、年月が経つと磨耗して働かなくなってしまうらしい。その結果、シャッターの開閉がうまくいかず、シャッターが開かなかったときの写真は全く撮れなかった、というわけ。カメラに精通している人だったら、シャッターの開閉音を聞いただけで、故障していることに気がついたに違いない。以来、Eosで撮りつつも、少なくとも1枚は、デジカメでも行った場所の写真を撮るようにしている。
 そのうちに一眼レフのEosを買って、それ1台で済まそうか、とは思ってはいるが、ネガフィルムで撮った写真が好きなので、なかなかふんぎりがつかないでいる。

ノート1冊
 旅の記録を書き留めるため、いつもノートを1冊持っていく。通常、A5判。
 最初のページには、旅の最中に葉書を出すために、両親と友人たちの名前と住所を書いておく。日本に電話をかける際の番号も書いておく。そして、おみやげリスト。両親と友人たちの名前の横に、買ったおみやげを次々と書き込んでいく。こうしておくと、買い忘れることがない。高価なものはあげないけれど、かなりの数になるから、私のスーツケースは重たくなってしまうのかなー。でも、しょうがない。(笑)
 たいてい、行きの飛行機のなかで、行きたい場所、やりたいこと、買いたいものをリストアップする。旅の最中、済んだものから、チェックマークをつけていく。
 1日の終わりには、その日に買った物と値段を書き、最低でも、その日に行った場所を書き込んでおく。余力があれば、詳細に日記をつける。そして、翌日、何をするか、プランを立て直す。
 このノートは、旅の間中いつも持ち歩き、移動時間や待ち時間があれば、買ったものや行った場所を随時書き足していく。
 人の記憶はだんだん薄れていくけれど、ノートに書きとめた情報は消えることはない。見返す度に、その旅の思い出が蘇り、またイギリスに行きたくなってしまう私である。 

ファイテン
 数年前から、ファイテンのネックレスとブレスレットは旅には必ず持っていく。気のせいなのかもしれないが、チタンパワーの魔法が、重たい荷物を軽くし、疲れた体をリフレッシュしてくれるのだ。(笑)

スリッパ
 スリッパは手荷物に入れていく。飛行機に乗った途端にくつをぬぎ、スリッパに履きかえ、備え付けの毛布をかぶり、楽な体勢をつくりあげる。最近は、食事のときと、ノートに何か書き込んでいるとき以外は、だいたい寝ている感じだ。
 かれこれ7〜8年前のことになるが、キャセイパシフィックを使って旅行したときのこと。行きの飛行機でスリッパを機内に忘れてきてしまった。日本の旅館やホテルには、備え付けのスリッパが置いてあるからいいが、海外のホテルだとそうはいかない。スリッパがないと、室内でも靴で過ごさなくてはならなくなる。というわけで、早速、スリッパ探しを始めたのだが、これがなかなかみつからなかった。まずはデパートに行ってみよう、と行ってみたのはリバティー。あるにはあったが2,3種類しかなく、1足が2000円以上する。日本なら、1000円ぐらいで買えるのになぁー。ケチな私は買うのをやめ、ほかを当たることにした。今度はキングスロードに行き、マークス&スペンサーをみてみたが、キングスロード店の売り場は1フロアしかなく、食料品と衣類の両方が展示されているので、スリッパなんか置いていないようだった。「あーぁ」。この後に行った駅前のピーター&マリーで、なんとか1500円ぐらいでスリッパを購入したが、着いた早々から時間を費やし、散々であった。
 今思えば、マークス&スペンサーの他のお店(たとえば、マーブルアーチ店とかケンジントンハイストリート店)ならスリッパぐらいあったのだろう。さらに、旅の終わり近くでハロッズを訪れたとき、おみやげ用のかわいいスリッパが1000円台で売られているのをみつけ、おいおいーって感じであった。

針金ハンガー
 どうでもいいけど、されどハンガーなのだ。ホテルやB&Bに備え付けのハンガーは、数も少ないし、たまにクローゼットから外せない、なーんてこともある。旅の間中、ほとんど洗濯物はしない私だけれど、使ったタオルを乾かしたり、皺にならないよう伸ばしておきたい服やその日に来た洋服なんかを吊るすのに、ハンガーはいくつあっても足りない。スーツケースに入れていけば邪魔にならないし、旅の終わりにそのまま宿のクローゼットに置いておけば、以後、利用してもらえるだろうし、惜しくもない。たいてい、2つ持参している。

透明なビニール袋(30×40cm)
 これは母から受け継いだものだろう。私は、何でも透明なビニール袋に入れてしまう。旅行中も、汚れた下着はビニール袋へ。化粧水などの液体もビニール袋へ。食べかけのチョコレートの包みもビニール袋へ。家から20枚程度は持参するのだが、こんな風に使っていると、足りなくなることもある。
 10年以上も前の旅行のときのこと。ビニールが足りなくなり、お店で探してみたが、みつからない。一緒に旅をしていた留学中の友人に尋ねると、「ビニール袋? そんなの、スーパーでもらった袋を使えばいいじゃない。でも、言われてみれば、あんまり売ってるるのをみかけないわねぇ」という。スーパーでもらった袋でもいいけれど、もらったときから穴があいてて用をなさないこともあるし、大きさや必要数を考えると、やはり持参したビニール袋が一番! 地球に優しくない、なーんて声が聞こえてきそうだけれど、ビニール袋は私にとって必需品の1つである。

携帯電話
 おととし、イギリスで使える携帯電話(日本では使えない)が6000円ぐらいなのを知り、購入した。Nokiaの携帯で、これがけっこういい。
 それまでは、ヒースローに着いた途端、テレカを1枚買い、公衆電話をみつけては、家に連絡を入れていたのだが、これを手に入れてからは、公衆電話を探す手間なく、好きなとき(とはいっても時差は考慮するが)に電話をかけられるようになった。
 ここ数年、列車の駅からタクシーに乗らなくてはたどりつけないような場所にでかけることが多くなった。行きは駅から乗るので、タクシーが数台待機しているからいいが、帰りはそうはいかない。自家用車かレンタカーで訪れるのが普通の場所ようで、出口でタクシーが待機しているどころか、タクシー自体、あまり来ないので、誰かが乗ってきたタクシーに、じゃぁ帰りは私をお願い、というわけにもいかない。というわけで、昨年、ネブワースハウスを訪れたときは、行きにタクシーの運転手さんからもらったカードの番号にかけ、迎えにきてもらった。そういう場所には、公衆電話もないのが常のようだ。
 さらに、Golden Tourのオルソープツアーを申し込む際にも連絡先を聞かれ、携帯の番号を伝えた。どこか1箇所のホテルにずっと滞在するのなら滞在先のホテルの電話番号でもよいのだろうが、ロンドン以外に数箇所周り、一定の宿泊先が決まっていない場合、こんな場合にも携帯は役に立つ。とはいえ、通話料金は公衆電話でかけるよりも高めなので、長電話は禁物である。

バスタオル1枚とフェイスタオル2枚
 ずいぶん前から環境に優しく、ということで、ホテルでも、リクエストがなければ、毎日タオルを取り替えないようになったようだ。B&Bの場合、タオルは毎日取り替えないのが普通らしい。が、私は、家では毎日フェイスタオルを2枚とバスタオルを使っているので、数日同じタオルを使い続けるのが苦手だ。特に顔を洗った後に顔をふくタオルが、前の日、体を洗ったタオルと同じ、というシチュエーションはどうもいただけない。というわけで、私はいつもフェイスタオル2枚とバスタオルを1枚持参する。タオルはたいした重量にはならないし、たとえば、何か割れ物を買ったような場合、これらのタオルにくるんでからスーツケースに詰め込めばクッション代わりにもなる。

風邪薬と正露丸、バンドエイド
 日本にいるときでもめったに風邪をひかない私だが、十年以上前にワイト島に行ったとき、水しか出ないようなB&Bに泊まったのが原因で風邪をひいてしまった。日本から多少は薬をもっていったのだが、なかなか治らず、とうとう薬がなくなってしまい、Bootsで風邪薬を購入した。これを後で留学中だった友に言ったところ、「大丈夫だった? こっちの薬って強いでしょ?」と驚かれた。風邪は結局、日本に帰ってくるまで治らなかったので、薬が強すぎることはなかったのだろうが、いつも愛用している風邪薬に勝るものはない。そして、お腹を壊したときの用心に、正露丸も欠かせない私である。

「地球の歩き方」
 初めてのイギリス旅行のときから、「地球の歩き方」が旅の友。数年おきに購入しているので、手元の「地球の歩き方」はかなりの数にのぼっている。
 ロンドンでちょっと時間が余ったとき、どこかよさそうな場所はないかなーと、かばんに入れて持ち歩いている「地球の歩き方」を広げてチェックする。「ロンドン」版の最初に数ページにわたって出ているエリア別の地図は、なかなか見やすくていい。私はいつも、この地図を、A-Zと一緒に活用している。

(2007.6.4)


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