ア ビ ー ロ ー ド

Abbey Road


 2度目のイギリス旅行のこと。旅の同行者だったせっちゃんのお友だち(Mitoさん)がケンブリッジに留学していて、何日間か、私たちにつきあって、あちこち一緒に回ってくれた。2度目といっても個人旅行は初めて。右も左もわからない状態で、Mitoさんの言うままに地下鉄に乗り、連れていかれたのがアビーロードだった。
 「けっこう、みんな、ここに来たがるからさぁー。この横断歩道を渡ってる写真が、ビートルズの『アビーロード』*のアルバムジャケットに使われているんだよね」
 「ふぅん、そうなんだー」。ふたりとも、別にビートルズファンではなかったので、それほど感動はしなかったのだけれど、とりあえず・・と写真を撮った。
 そして、あれから約15年の月日が流れた。すっかり病みつきになり、毎年のようにイギリスを訪れていたら、なんとイギリス旅行も13回目。これまで何度も候補地に上がりながらも行く機会にめぐまれなかったリヴァプールの地を、いよいよ訪れてみることにした。
 リヴァプールといえばビートルズ! ロンドンではどこを訪れようかと思いながら、地図とにらめっこしていたら、以前訪れたことのあるアビーロードが、この旅行で最後の晩に泊まる予定のBayswaterから歩いていけそうな距離にあることがわかった。ホテルからリトルヴェニスに出て、そこからアビーロードに行く。ビートルズ旅行の仕上げにはもってこいの場所じゃなぁい? と、早速、私はひらめいたのだった。


 その日は、文字どおり雲1つない晴天だった。
 「いやぁ、こんな空、イギリスでは珍しいよねーっ」
 同行の友のTsukasaさんと、ほれぼれするほどの青い空を見上げながら、ホテルからリトルヴェニスを経て、アビーロードをめざした。街路樹が茂る道をしばらくずんずんと歩いていったところで、「このあたりみたいだよー。どう見覚えある?」と、一度アビーロードを訪れたはずの私に、Tsukasaさんが聞いた。
 「ううん、全然、覚えてないよー。だって、あのときは、大急ぎで連れてこられてあっという間だったからねー・・」と、私。
 横断歩道を渡ろうと信号が変わるのを待っていたら、何やら日本人らしき男性が、「アビーロード」のサインの前でシャッターを切っているのが見えた。
 「はっはっはー。誰しも考えることは同じだねーっ」。
 信号が青になった。
 まずは道路のサインの前で写真を撮る。そこからすぐの所に、アビーロードスタジオが見えた。スタジオの塀には、ビートルズファンが書いたのであろうメッセージがたくさんある。ここでもパチリ。
 「アビーロードっていうぐらいだから、どっかにアビーがあるはずよねぇ・・」と、Tsukasaさんが言うが早いか、ストリート名の由来ではないだろうけど、スタジオの対面に小さな教会がみつかった。
 そして、仕上げは、ビートルズみたいに、また、アビーロードで写真を撮らなくっちゃ・・。
 とはいっても、このアビーロード。ひっきりなし・・というほどではないのだけれど、かなり往来が激しい。ちょっと車の流れが途絶えたかと思うと、すぐにまた次の車がやってきてしまい、なかなか写真を撮るタイミングがつかめない。
 横断歩道を渡ろうとしては、車が来たので戻り、また渡ろうとする。しばらくこれを繰り返して、ようやくチャンスがめぐってきた。
 パチリ!

*最大のセールスを記録したビートルズのアルバム。なんと全世界で1,500万枚も売り上げた。発売は「レットイットビー」よりも早かったが、レコーディングは後なので、実際にはビートルズの最後のアルバムなのだという。EMIのアビーロードスタジオ近くの横断歩道上で撮影された写真がアルバムジャケットになっているが、4人のメンバーのうち、ポール・マッカートニーだけが裸足であったため、発売当初には、ポール死亡説が飛び交ったという。収録曲は、カム・トウゲザー/サムシング/ヒア・カムズ・ザ・サン/ ビコーズなど。

上段左:左側がアビーロード。
上段右:アビーロードにあった教会。
下段:アビーロードスタジオ。
塀には、ビートルズファンの落書きがいっぱい。

 そして、最後に、もう二度とはお目にかかれないくらいの、雲1つないロンドンの青空をパチリ!



 うーん。ほれぼれしちゃいますねぇ・・。

(2004.3.6)
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