(2001.11.16)
超高速船テクノスーパーライナー(TSL)実現へ向けスタート
【写真は完成予想図・国土交通省造提供】
国土交通省及び東京都は、実用化に向けて進めている水面滑走の超高速船「テクノスーパーライナー(TSL)」を、 2004年(平成16年度)に小笠原村・父島ー東京(竹芝)間で就航させる方針を固め、実現に向けスタートした。国土交通省はすでに実用化に向けての方針は固めており、都と協議を重ねているが、石原都知事が19日の都議会定例会での所信表明の中で、「民生の安定を図る上でも、新しい足としてテクノスーパーライナー(TSL)の実現を図りたい」との考えを示したことから、地元小笠原村は「就航実現への確実性が増し、TSLの小笠原航路開設はこれで事実上決定した」との認識を持った。
国土交通省の安富正文海事局長は、TSLについて「谷野前局長が地固めをしてくれ実用化の段階にきたTSLだが、現在、国と都の間で最終的な話を進めて調整を行っている。この調整が済み次第、保有会社を立ち上げ、建造に着手することになる」と述べ、年内中に保有管理会社が設立されれば、「2004年7月には、就航するだろう」との考えを示した。
超高速船「テクノスーパーライナー(TSL)」の小笠原航路は、当初、8月までに「TSL運航保有管理会社」を立ち上げ、2003#年(平成15)年度に開設させるため、保有管理会社、運航事業者の決定を急いでいたが、国、都、事業会社間の調整が遅れていたが、今年末には、決定の運びとなるようだ。
現在、東京ー小笠原間は片道で25時間半もかかっているが、TSLが就航すると、運航時間が約16時間に短縮される。小笠原は交通の便さえ整えば、一大観光地となる可能性を秘め、経済効果も期待されている。国土交通省は今年中には、保有管理会社を正式発表する予定だ。
一方、小笠原航路は現在、小笠原海運一社で運航している「おがさわら丸」(6.679・、定員1031人)は片道25時間半かかり、運航は6日に一便だが、TSLは、14.500・程度で、乗客は約725名、貨物も約200・搭載する。計画では同航路を16時間で走り、週に約2便の運航をする。就航が実現すれば、現在小笠原への入島者数は2万余人から5万人と大幅に増えることが予想される。
(2001.8.29)
国土交通省が、2004年までに就航を目指し計画している、小笠原航路でのテクノスーパーライナー(TSL)の事業開始に向けた保有会社設立や赤字補填、制度上の問題など最終決定が大幅に遅れている。国土交通省は、事業化計画のスタートを6月中としていたが、TSL投入後、事業運営上赤字が出た場合の支援態勢について、国と東京都の間でこれまで数回の検討を重ねているが、双方にかなりの認識のずれがあることから最終決定までには時間がかかりそうだ。
東京都では、今後 国土交通省との間で支援体制の内容を詰めていく予定でA最終的に事業開始が決定されるのは8月以降になる見込みだ。都では、赤字補填する枠組み、赤字補填の国と東京都の負担割合など、国との間で支援体制の詳細を詰めておきたい考えだ。一方、国側は支援する旨の考えは明らかにしているものの、具体的な詳細については提示していないようだ。
事業計画の第一段階は,運航事業者の小笠原海運が船舶保有会社との間で、用船契約の仮申込を行う事だが、事業者側でも、実際に事業計画を進める上での前提として赤字の際の支援体制の確立を求めている。
一方、こうしたことから苛立ちを見せている地元の小笠原村では、8月22日、臨時議会特別委員会を召集。宮澤昭一村長や村議委員ら8名が9月初めに上京し、計画通り2004年までのTSL就航を実現するよう、国土交通省や東京都に要望書を提出するなど陳情を行うことを決めた。
して検討を進めたい」とし、「将来的小笠原航路で実際のデータを収集し、技術開発を行っていく」と述べた。
こうした中、扇千景国土交通相は、投入先について、「小笠原空港建設にはまだ何年もかかる。TSLを運航してはどうか。東京ー小笠原航路が適している」と述べ、同省海事局の方針が決まれば強力に支援していく考えを示し、実用化を巡る基本的な意向を明らかにした。
小笠原村は、7月下旬、運輸省海上安全局造船課から,TSL(超高速船・テクノスーパーライナー)実用化に向けての「TSLプロジェクト推進委員会が発足と運航業者の募集について」の説明を受け、このほど公募に名乗りを上げたことを明らかにした。
公募に応じたのはブルーハイウエイライン、川崎近海汽船、東日本フェリー、太平洋フェリー、小笠原村など8社。想定航路は、ブルーハイウエイラインが関東ー九州、関東ー北海道の長距離航路、川崎近海汽船と東日本フェリーが八戸ー北海道、太平洋フェリーが仙台ー苫小牧航路、小笠原村は東京ー小笠原父島航路としている。
小笠原村によると、TSL運航事業を検討するにあたって、企業名を「東京都小笠原村(地方自治体)」とし、航路を東京〜父島、輸送能力を1.000人程度、航海速力を極力短時間にすることの他、週2往復程度で、在来船(おがさわら丸)以上の性能を確保したいと想定している。
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