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沢野ひとしファンのあなたに | 『姑獲鳥の夏』 『魍魎の匣』ほか 京極夏彦 講談社ノベルス |
傍若無人で人を人とも思わぬ、つねに直感で動き神出鬼没、宇宙は自分を中心に廻っていると確信しているのだけど、なぜか憎めない天然ボケの単細胞、面倒なことを考えるのはイヤでそういうことはそういうのが好きな人が考えればいーの!と思っていて飄然としてとらえどころのない体力派の奇人変人。 椎名誠の作品に出てくる、そんな沢野ひとしのキャラクターに激ボレのファンは多いことだろう。私も『ハーケンと夏みかん』以来、あーもうダメ!たまらぬ!のであるが、そんなファンのかたに耳ヨリな情報。 椎名誠の作品以外でも、そんな沢野ひとしの姿が拝める小説があるのですよ、それも数千ページも! ということで、沢野ひとしファンのあなたにおすすめするのが、京極夏彦『姑獲鳥の夏』『魍魎の匣』をはじめとする、いわゆる“妖怪シリーズ”である。 このシリーズのメインキャラのひとり榎木津礼二郎ときたら、傍若無人で人を人とも思わぬ、つねに直感で動き神出鬼没、宇宙は自分を中心に廻っていると確信しているのだけど、なぜか憎めない天然ボケの単細胞、面倒なことを考えるのはイヤでそういうことはそういうのが好きな人が考えればいーの!と思っていて飄然としてとらえどころのない体力派の奇人変人で、ああまさにこれは沢野ひとしの生き写し、沢野ひとしそのものではないか! わーい、沢野ひとしだー、ガンバレー!と、私なんぞは800ページ超の分厚いノベルス(そう、この厚さが玉に瑕なのだ。私を含めほとんどのファンにとって、京極夏彦の小説は「これまで読破した中で最も分厚い1冊」なのではなかろうか)を片手に拳を振り上げてしまうのだが、しかしこれを当の榎木津ファンの、とくに女の子に話すと、 「まっ、ひどい! 榎木津はビスクドールのような超美麗な顔立ちなのよ! あんなゴリラ男と一緒にしないで!」 と怒られてしまうのは、どうしたものか。 |
(注)榎木津礼二郎について、さらにさらに詳しく知りたいかたは、検索エンジンで「榎木津」と入力してサーチしてみてください。いきなり膨大なヤオイなサイトがひっかかって、「女の人って、女の人って…」という気持ちになれます。 |