夕 陰 加藤 僕達は歩いて行こう たぶん家の方へ 一番星と同じタイミングで灯った 小さな町の明かりに向かって 艶消しの慰めを見つけに行こう こんな夕だから 歌おうにも笑おうにも大げさになってしまって 僕達が思うようには男らしくもなく 今更ながら涙が出るじゃないか 僕達のことだって 途切れ途切れの並木のように 風に揺れる一本の草のように 黒く塗り込められた 影法師にしてくれはしまいか 輪郭だけで精一杯だったから 真昼の太陽の下で 小さな染みまで捜すようなまねをされることに 今はとても 耐えられそうにないから |