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2000年8月の

投稿作品 

投稿ありがとうございました


☆詩の著作権は当然ながら詩の原作者ご本人にあります

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詩の展示室(ゲスト用)



今週の Photo Gallery
気分転換に風景写真などどうぞ

2000年の投稿作品
(2000年8月〜12月)

 






 数 字
            ひろゆき



増えていく

数字

1秒間に

光が進む距離

銀河系の

星の数

宇宙の果てまで

何マイル?

0をいくつくっつけても

∞(むげん)には

届かない





いちばん大事な数字

僕も1

君も1

地球も1



世の中には

足し算できない1も

ある




                              2000.8.26

2000年10月の投稿のペ−ジへ






  黒揚羽
               nonya



今にも

垂れ下がってきそうな

低い雲を

物憂げな上目遣いで

見上げた時



気づいた

ビルの屋上から投げ捨てられた

黒い紙片と

見紛うばかりの儚さの

黒揚羽



極彩色の

看板をはらりとかわしながら

空蝉達の

這いずり回る路上の彼方を

舞っていた



季節が

温度計と湿度計でしか表せない

この街で

迷っていることすら忘れて

生きている



愚かにも

自分の影と重ね合わせようとして

もう一度

目を凝らしたら消え失せていた

黒揚羽



現実なのか

幻想なのか

気にもせず

歩き出す



また

いらない記憶をひとつ

刻んでしまった









                               2000.8.19
  作者のHP  http://www.interq.or.jp/rock/nonya/
     Mail      nonya@rock.interq.or.jp







 空っぽ頭の夕陽
                         ひろゆき



割れた雲から

パールピンクのロウが溶け出して

西の空をいっぱいにする

白い翼達が

明日の好天を告げながら

高く 低く

山の方へと飛んでいく



 空っぽ頭の僕等は 

  一番星さえ


   
探せず







                             2000.8.18








  夏の宵
                  夜行



木立を揺らすほどの

せみ時雨の暑いシャワーが止むと

泣いたようにやけただれた

縁側に水が打たれる

心地よいゆるみが縁側のまどろみを揺らし

風鈴に音色が戻る



日暮れを待って

君は

汗ばんだ髪にも水を打ち直す

風に梳かれる毛先に

おどるいくつかのしずく

昼間のまばゆさを

ふっときらめかせ

櫛間にとけていく

遅れ毛の余韻



思い出したように 

遠くでお囃子が聞こえる

縁側で

忘れもののように

黙り込んでいる背中



そっと

浴衣の袖越しに

こぼれてきたもの

艶の香る指先から

淡い吐息ごと

揺れて落ちる



線香花火の

夏の宵









                                 2000.8.1
 作者のHP  http://homepage1.nifty.com/yakousei/
  Mail
      fwhn1974@mb.infoweb.ne.jp 






 砂浜にて

              nonya
            
思いがけず

雲を切り裂いた光は

穏やかな波間に

光の鋲を撒き散らした



痛そうに顔をしかめて

視線を沖へ泳がす

とめどなく広がる意識が

淡い島影をなぞっていく



堅く閉ざしたはずの唇から

不覚にも微笑が滲み出す

来て良かった と

身体中で思う



もう

海になんか捨てたりしない

わざとらしく

波間から掬い上げたりしない

ただ

砂浜に佇んで

そのまま

潮風に自分を晒そう



果てしなく打ち寄せる波に

打ち上げられた

貝殻を拾い上げるように

自分の中の答えを手にしたら



少し日焼けした笑顔を土産に

さっさと帰ろう





                            2000.8.9
  作者のHP  http://www.interq.or.jp/rock/nonya/
    Mail      nonya@rock.interq.or.jp







 すべからく
                   
セイミ−



すべからく人の口から出ていくものは

神から遠くはなれ おののき ふるえている

たとえば別れ際に落とした吐息

土の上に小さくうずくまったネズミの顔



すべからく人の口から出ていくものは

宇宙を閉ざしうそぶいている

たとえば屍をつつむ嗚咽

果てしなく渦巻くように見えて瞬く間に収束する影



ぼくを確かめるのに必要なしぐさは

このように顎を低くして

黄色い傘の光線の下に隠れることかもしれない



震える肩に聞いてみろ

右のてのひら深く握りしめられたペンは

ペンである前にぼくを宿した実存なんだ






                              ・・・・「朝日の街にソネットを」より

                                 2000.8.8

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  いちにち
                           夜行星




くずかごに

はいりそこねたまま

埃のように放置される

書き損じた

いちにちのかたまり



ひとつつまんで

引き伸ばしたのは

君が

ふともらした答えが

急に

正解に思えて

仕方なくなったからだ



無造作に

なぐりつけられた文字が

痛々しく折れ曲がった茂み

掻き分けていくと

はらりと開けた

スタンドの灯りに照り返された

しわ深い紙くずの上

いちにちのまっさらな破片が

いくつも散らばっている



忙しさという仮面をして

端折り過ぎた時間を放り投げていた

僕はいったい幾つの未消化ないちにちを

置き捨ててきたのだろうか



取り戻せない放物線を



逆にたどろう

君がふと

拾いなおしたという

昨日を

少し




                               2000.8.7
  作者のHP  http://homepage1.nifty.com/yakousei/
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      fwhn1974@mb.infoweb.ne.jp 

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 熱 風 -Sirocco-
                   
 ひろゆき


空き缶に

耳を当てる



轟々と

風の音

それはたぶん砂漠の



埋もれかけた石柱の

横を通り過ぎていく熱風(シロッコ)



青をぐしゃりと握り潰し

ぼくはまた

雑踏へと紛れ込む



熱中症気味の

現実っていう幻を

目撃するために






                         2000.8.6

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  河 原
               真美衣
 


青々した堤防に陽炎が立ち

熱い風に飽きた頃

赤いとんぼが乱れ飛んで

過ぎゆく夏の夢を運ぶ

高校生のカップルが丈高い草影に見え隠れ

笑いをこぼす傍らを

子供達が走ってゆく
 


自転車をこいでゆっくり家路に向かう人、

自慢の犬たちを連れて挨拶を交わす家族連れ

川面は蒼く深く、

住む人の誇りにふさわしく

日々の平和を映して

ゆったりゆったり、流れていく
 


一人一人の人生が鮮やかに照り映える

夕暮れ時、

そして河口に沈む大きな夕日の後は

満天に輝く星

銀河がくっきりと空を流れ

星座が言葉を交わす



やがて

夏祭りの花火が

夜空に散ると

さやかに秋がやってくる・・・





                              2000.8.6

この詩は織部夕紀さん主宰のメルマガ「風のエチュ−ド」へ投稿・掲載されたものです。今回特に作者の許可を得て掲載させていただきました。
Mailアドレス sweetheart0210@hotmail.com

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                nonya


6本目の指が

映っていないじゃないか

いつもその指で

現実と幻想の結び目を

引き寄せているのに



鎖骨のあたりの鰓が

映っていないじゃないか

いつもその鰓で

言葉にならないガラクタを

呼吸しているのに



いい気になっているんじゃないのか



おまえの映すものは

いつも

あまりにも綺麗に

歪みすぎている






                             2000.8.
  作者のHP  http://www.interq.or.jp/rock/nonya/
  Mail      nonya@rock.interq.or.jp

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  朝 凪
              織部夕紀


ここでは何もいらないけれど

満ち足りた光がかえって眩しく

波の上で私を突き放すように

遙かに見えるから



静かな時間の通り道を開けて

息を潜めながら見送っている

輝かしい朝のささやきが

私の耳元まで届けられるように



一歩近寄ると違う波が違う方向へ

私の意識を連れ去ってしまうから

もう少しそのまま目を閉じて待つ



強い陽の照り始めた

草むらで

青々とした声が私を呼ぶまで




                                  2000.7.30

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