地球と月の愛
                            



 気の遠くなるほど遙か遠い昔

 はりあっていた二つの惑星が引かれあって衝突し

 木っ端微塵に砕け散った



 その後その微塵がまた集まりだし

  付かず離れず手に手を取るように

  回転しながら2つの大小のかたまりに凝固した



  それが地球と月の始まりだという



  それ以来というもの

  月は地球が忘れられず

  近づくでもなく

  遠ざかるでもなく

  ぐるぐると周りを回りながら

  周期的に表情を変え

  満月になって満面に笑みを浮かべたり

  三日月になってつんとしたり

  百面相をしながら

  地球を見つめ続けてきた



  46億年の愛!



  その愛によって地球の自転軸は

  微妙に支えられてきたのだという



  そしてまた

  地球の全生命も

  月を頼りに時計を合わせている



 そういえば

  潮の満ち引きも

 月の仕事



 そんなふうだから

 月の見えない夜は

 やっぱりどこか間が抜けて見えるのだ



 月は夜の番人だ

 これまでずっと

 地球の夜を静かに見守ってきた



  まれに顔を隠すことがあっても

  地球に背を向けたことはない



  私たちの生活の最も根底的なところが

 こうした 地球と月との

 夫婦のようなコンビネ−ションによって支えられているのだということが

 私には実に深い意味を持つものに思えてしかたがない