水田を讃える詩






あちらこちらに 若葉色が繁茂する季節

幼子のような苗が 整然と植えられて

水田も 見渡す限り うすみどり色になった



まずは こうした 自然の再生力と人の営為の健在ぶりを祝いたい



(( 水田は 稲を育てて米を収穫するためにのみあるのではない

ダムのようなはたらきもするし

真夏の暑さを緩和してくれたりもする

なによりも こうして

あたり一面の景色を風光明媚にし

田植えから稲刈りまで

次々と多彩な風情を楽しませてくれる



昔はよく

田んぼを介して自然に親しんだものだ

ドジョウやフナやメダカ そしてカエルやイナゴやゲンゴロウ・・・

朝な夕なに

また四季折々に

田んぼが何かと貴重な遊び場でもあった ・・・ ))



そんなことが脳裏を去来する私の眼前に

いままさに  夕日が赤々と燃えていて

しだいに水面(みなも)を金(きん)に染めて行く



水田の中でゆらめく夕日をみつめているうちに

古代からのこの国の原初的イメージが

胸の奥に深くしみてくるような気がした