枯 芙 蓉




近畿のkemariさんの作品です。

枯れて行く

その美の果てに

青い星



              yk
烏瓜

我が身の明日を

知りながら



             yk

近畿のkemariさんの作品です。

kemari
耐えている

曲がりなりにも

冬木立


           yk






 
            
好花




その連なりは悠々と息をしている

流れる雲に追いかけられる太陽と

おとされた雲の響きは山々に残っていく

時はたえず移ろいながらその中で眠る樹々は

射られるままに姿を変えてきた

清々しい杉林を彩る雑木林

茶色く嗄れた松の群に注ぐ霧雨

錆びた小さな鉄工所の壁に揺れる笹が

いつもと違う空を見せてくれる







site

広隆寺

時雨に光る

石畳



         yk









 

             銀色




雪は

雨よりも優しく見せかけながら

雪は

嵐よりも静かで残酷

雪は

こんなにも儚げにみせて

雪は

何よりも強い

雪は

静寂をもたらし
無言のうちに私たちを圧迫し
全てを呑み込んでいく

雪は

その水性
流れ流れて
遠くより来たりて
私たちの心の奥底へと
根雪をのばす

氷よりもやさしく
私たちをだましながら
いつの間にか降り積もった雪は
頑なに融けることを拒む
冷たく冷たい世界を作る

それでも
人は雪を望む
空から舞い降りる雪に
なにかしらの物語を見て
優しくもない雪を優しいと思う


雪は

すべてを覆い隠す

雪は

リセットをするために必要な道具

雪は

ただ白く降りしきる










site






 

 
スノウ
                タカシ




線路脇に寝る犬は どうして今頃 雪が降るのだろう とだけ鳴く

銀色のフィルターが心地よかった

声も聞こえなくなった頃 くうきがざーざーと荒れてきた

あたたかい日よりも 心地よかった















雪の日は
                
青野3吉




雪が降るとおとうもおっかあも

おじいもおばあもみんな家の中にいて

弟も妹もあっちにひとかたまり

こっちにひとかたまり

何かを手にしながら話しをしているような

していないような

みんな別々のようでいて

同じ屋根の下にいて

時々笑い声が伝播したりして

互いに居る所を確めあったりするのだが

小康が凝集するせつな

ついと空を見上げるのだ一斉に

漏れるため息に異なる思いが滲む

それは一瞬のことで

雪の上がる気配は見えない

のがいい







site


kemari






玄米乳

            
仲程



China Store
は知名商店
県立病院の向かい
時刻表が意味を持たない島
まだ暗い時間
白衣のままのインターン
パンや牛乳 買って

おばさん
げんまい
ひとつ

蒸し器の中の
ぎゅうにゅうびんぎゅうにゅうびんぎゅうにゅうびん
ゆげ
げんまい
きらい
げんまい
きらい

風邪をひかないように
China Store
の「げんまい」
しょうが風味でどろどろで
ぎゅうにゅうびん

げんまい
きらい
って半ズボン

県立病院前バス停
泊交差点の予備校に向かうバスを待つ時間が好き
ぎゅうにゅうびんのあいだから
ゆげ
時刻表が意味を持たない島
でも
冬だった朝
ぎゅうにゅうびん
げんまい
ゆげ

China Store
はまだ暗い朝の知名商店
今なら美味しく飲めるのに











site

















 確 認
              
たもつ




今、寒いと言った

昨日も言った

一昨日も

その前の日も、多分



毎日毎日が

まるで当たり前のように

それを確認するかのように

毎日毎日を



明日、僕は

大好きなあの人と結婚します



寒いと言って












site




kemari














 
カワセミ
                野田祥史




冬の結晶が

とろけるような

生暖かい日

一羽のカワセミが

小川の小石を蹴って飛んだ



その飛翔は放たれた矢のように

一寸の躊躇もなく

真直ぐに私の窓に止まった



その時私は

緑の鱗を持つ人魚と

接吻したように思えたのです

それは甘美にとろける

この大気のようでありました



苦い後口さえもなく

幻が覚めた時

ただひたすらに

青い青い空が広がっていました














site


































 高 翔
           yk




見上げる と

鳥が 舞い

舞い の 列 が

列が ゆらぎ 

ゆらぎ ながら も

すさぶ 寒風 の 中

ある 意志 を 持つ

ひとつの 生きもの の ように

遠く ひかり の 中に こぞって 落ちて いく 

よう だった



今日は珍しく 息子と 二人きり 車に 乗って

君は どういう 人生を?

と 思いながら その ことばを

のんで しまったり・・・



鳥は 迷うことなんか まったく ない よう

だった



群れが・・・

その 集まりの 舞いの さま が

少し うらやましく 思えた











kemari




目次に戻る