師走の空の下で
                    nonya




穏やかな冬晴れの午後



緩やかな稜線を

滑り降りてくる

冬将軍の切っ先に

いつもの鋭さはない



枯野を柔らかく慈しむ

頼りなげな陽射しは

誰かの誤魔化し笑いに

とてもよく似ている



西高東低が崩れて

心の等圧線が開くと

棚上げにしたはずの昨日が

次々と崩れ落ちてくる



暮れなずむ時間の扉に

後ろ向きで錠を下ろし

当たり前のような顔をして

歩き出してもいいのだろうか



叶わなかった想いが

ふくよかな結晶になって

枯野を白一色に

塗りつぶしてしまう前に



奥歯に引っかかったままの

言葉の亡霊達を

青く張りつめた空へ

ぶちまけてやりたい



そんな衝動に

駆られながら今年も

ただ立ち尽くす



何も終わらずに

何も始まらない

師走の空の下で






2000.12.21




作者のHP  http://www.interq.or.jp/rock/nonya/
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