聖地へ 加藤 せせらぎの路を辿れば 生まれた頃が触れてくるだろうか 河口から旅して来たんだ ヌルヌルする石に足を取られ 酷い臭いのヘドロにまみれて やがてダムを横目に 紅葉色の鉄橋を抜けた 朝は透明の朝で 夜は無色の暗い夜の場所で 胸を撫で下ろす手に オニギリの味噌が付いた場所で 偽りのない呼吸の仕方を 新しく覚えなくてはならなかった 憑かれたように分け入ってゆく 少し前に地図を畳み 今は自動車を置いて 誰の足跡もない聖地 水の巡礼地へ |
2000.12.1
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