聖地へ
              加藤



せせらぎの路を辿れば

生まれた頃が触れてくるだろうか

河口から旅して来たんだ

ヌルヌルする石に足を取られ

酷い臭いのヘドロにまみれて

やがてダムを横目に

紅葉色の鉄橋を抜けた

朝は透明の朝で

夜は無色の暗い夜の場所で

胸を撫で下ろす手に

オニギリの味噌が付いた場所で

偽りのない呼吸の仕方を

新しく覚えなくてはならなかった

憑かれたように分け入ってゆく

少し前に地図を畳み

今は自動車を置いて

誰の足跡もない聖地

水の巡礼地へ









 2000.12.1

                作者のHP http://www.f4.dion.ne.jp/~hermit/
             作者のMailアドレス lightofmajesty@anet.ne.jp

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