里
                 加藤




かならず帰れと言う人を背に

言葉少なく去った土地を

酷かった交通情勢に悪態を吐きながら

やはり目指して来た

もちろん村の付き合いにはうんざりしたさ

だけど遠くの白い山を見に来たんだ

刈り入れの手伝いはこずかいの為だったけど

この寒々とした土地に立つだけのために来たんだ

懐かしいとは疲れ癖のついた奴の言葉だ

だがそれは弱い奴が避けたがる言葉でもある

生傷を作って反吐に塗れる程に戦ってみろよ

今更になって帰る場所はなくとも

脳裏を過ぎる場所があるものなのさ









2001.1.3

                 作者のHP http://www.f4.dion.ne.jp/~hermit/
             作者のMailアドレス lightofmajesty@anet.ne.jp

                                                     戻る